酸素

今日は登校日だったから久しぶりに学校に行った。二週間ぶり?くらい。昨日はもう全部嫌になって十時とかに寝たから四時くらいに目が覚めちゃった。まだまだ真っ暗。ぜんぜん夜。寒いし何もしたくないから、ずっと布団にこもっていた。

横たわって、スマホのロックを外して、またすぐ閉じたりしながら細切れに眠っていたらいつの間にか七時になってて、いつも起きる時間のアラームが鳴っていた。起き上がったら透明ピアスが外れていた。

 

家を出てすぐにamazarashiを再生した。キンと冷えた朝の空気に包まれて聞くamazarashiは脳にすっと入ってきて、酸素だな。と思った。朝の新快速電車はやっぱり満員で、年が明けてから遅刻ばかりしていたからすこし新鮮だった。前の登校日も同じ電車に乗っていたのに。寝坊したわけでもなく遅刻して学校に行ったの、革命すぎてこびり付いているんだ。

いつも見かけるOLも、hug meと書かれたハリネズミのカバンも、幸の薄いリーマンも、もう見ることは無いんだな、と初めて気付いて悲しかないけど少し虚しかった。私も誰かの「朝」にいたのだろうか。

 

新快速電車の中で目の前に立っていた女の子が子供ケータイで母親と電話をしていた。小学生くらいかな?制服を着ていて、顔は帽子とマスクでよく見えなかったけれど、私と同じような形の目をしている子だった。次の駅で乗り換えをするようで、とびらが閉まってすぐに電話を切っていたけれど、それからもずっとケータイを意識しているようだった。健やかに。と頭に浮かんだ。

いつからか、幼い子供や赤子に対する慈愛、のようなものが芽生えていた。私がこんな平和主義的で人間らしい感情をもてる日がくるなんて、中学生の頃の私は思ってもいなかったな。すべてを目の敵にしていたもんね。

 

学校は相変わらず居心地が悪かった。友達がいないわけでも、嫌がらせを受けているわけでも無くて、ただ友達以外の学校の人がもれなく全員うっすら嫌いなだけ。すべて私事情だからどうにも救えない。途中でイヤフォンの電池が少なくなった警告が鳴ったから二限の途中から曲の再生を止めた。イヤフォンを外した瞬間に周りの音がワッと鮮明になって、座っているのに足場の無くなる感覚がした。

授業が終わってすぐ、そそくさと帰ろうとしたら別のクラスの友達から沢山チョコを貰ってすっごくハッピーになっちゃった。ごめんね、私は準備が間に合わなかったから次の登校日に持ってくるよ……。